木下サーカス北九州公演、名古屋公演の 抗議・要望書を提出と回答状況

見て見ぬふりの主催・共催の報道機関と
動物福祉の聞き取りを行った協賛の森永製菓

動物の調教芸を行う木下サーカスの北九州公演(3/23~6/30)と名古屋公演(7/13~10/27)にあたり、各公演の主催・共催・協賛企業に対し抗議し、動物の調教芸を行わない健全な興行を促すよう要望書を提出しました。

また、北九州市消防局と名古屋市消防局にはゾウを利用した防災訓練を行わないよう、要望書を提出しました。

協賛各社と消防局は、まだ回答期限が来ていませんが、要望書の提出と回答状況は以下のとおりです。北九州公演の主催社からは回答がありましたが、名古屋公演は主催共催ともに報道機関にも関わらず、回答がなく、督促状を出したのちも一切の回答がありません。

木下公演との関係性送付先 社名要望書
送付日
回答回答内容
北九州公演  3/23(日)~6/30(月)
主催読売新聞グループ本社3月14日広報部より4/3付けメール回答あり法令を遵守しているので問題ないとの認識
主催株式会社福岡放送3月14日4/3付け郵送回答あり法令を遵守しているので問題ないとの認識
共催株式会社スポーツ報知西部本社3月14日4/3付けメール回答あり法令を遵守しているので問題ないとの認識
合同防災訓練北九州市消防局4月22日ゾウの防災訓練を行ったことへの抗議と要望書 回答待ち(期限前)
名古屋公演  7/13(日)~10/27(月)
主催株式会社中日新聞社3月14日期限まで回答なし 4月14日督促状送付
共催株式会社CBCテレビ3月14日期限まで回答なし 4月14日督促状送付
共催株式会社CBCラジオ3月14日期限まで回答なし 4月14日督促状送付
共催東海ラジオ放送株式会社3月14日期限まで回答なし 4月14日督促状送付
共催東海テレビ放送株式会社3月14日期限まで回答なし 4月14日督促状送付
共催テレビ愛知株式会社3月14日期限まで回答なし 4月14日督促状送付
合同防災訓練名古屋市消防局5月5日ゾウの防災訓練を行わないよう要望書提出 回答待ち
北九州公演・名古屋公演共通
協賛森永製菓株式会社4月14日お客様相談室より4/28付け郵送回答あり各部署に伝え、木下サーカスには動物福祉への取組状況の聞き取りを行う
協賛スズキ株式会社4月14日回答待ち(回答期限前)
協賛コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社4月14日回答待ち(回答期限前)
協賛サントリーホールディングス株式会社4月14日回答待ち(回答期限前)
協賛山九株式会社4月14日回答待ち(回答期限前)

北九州公演の主催である読売新聞グループ本社広報部とFBS福岡放送、共催のスポーツ報知西部本社からの回答にはいずれも「法令を遵守した上で行われている」とあります。しかし要望書には、ゾウを飼育している輸送コンテナの扉が二重扉になっておらず、法令違反になっているはずであることについて書きました。自治体が許可に際し木下サーカスを優遇する運用をしていることから、主催各社も法令について認識が甘いと思わざるを得ません。

  • 人間に危害を加えうる「特定動物」に指定されているゾウは、飼育は許可制です。規制上、飼育施設は二重扉が義務付けられていますが、木下サーカスがゾウの飼育に用いている輸送コンテナは、扉は一重です。規制に例外規定はないにもかかわらず、なぜか木下サーカスでは、バックヤードでゾウの足を鎖で繋いで拘束することで許可が出てしまっています。本来は法令違反であり、またそのような身体拘束は動物虐待です。

しかしながら、これまでの公演で毎回協賛している森永製菓からは、回答期限よりかなり早く回答が来ただけでなく、「真摯に受け止め、担当各部署に伝える」「木下サーカスに動物の福祉への取組状況を聞き取り、注視する」という、動物たちにとって期待のできる回答をいただきました。

木下サーカス側に変化が!

実際に関係企業から聞き取りが行われたのか、すでに木下サーカスのサイトではいくつかの変更が加えられています。

タイの「キノシタ・エレファント・ホスピタル」は、なくなっていた!

「象の病院」のページでは、木下サーカスがタイの国立エレファント・コンサーベーション・センター内に建設した「キノシタ・エレファント・ホスピタル」がなくなっていることが、やっと明らかにされました。PEACEのスタッフが今年2月にタイを訪問し、キノシタ・エレファント・ホスピタルが存在しなかったことを、関係各社に要望書で伝えていました。

木下サーカスがキノシタ・エレファント・ホスピタルの閉鎖についてサイトに追記した日付は2025年3月付となっています(実際には、PEACEが要望書を出したのが3月14日、木下がサイトを更新したのは3月29日)。ゾウの病院が1999年に建設され、約10年後の2009年頃に閉鎖されたとすると、およそ16年間も、このことは明かされてこなかったことになります。

詳しくは別記事にまとめましたので、そちらもご覧ください。

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国立エレファントコンサベーションセンターの現在の象の病院

ライオンの猛獣ショーが終わりを迎える

また「プログラム」のページに追記された以下の告知は、ライオンの猛獣ショーの終了とみてよいでしょう。

木下サーカス プログラムのページの記載 ※ホワイトライオン世界猛獣ショーは2025年3月24日まで公演をしました。

2013年に11頭いたライオンが今や3頭に減り、残ったライオンも高齢であることや、生死の不明、ホワイトライオンは近親交配によって繁殖されていることなども各企業には伝えていました。

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鹿児島公演ではライオンは3頭だった2025年3月10日、木下サーカス鹿児島公演が終わりました。この鹿児島公演ではライオンは3頭でした。2013年には11頭いた木下サーカスのライオンですが、現在3頭まで減ってしまいました。鹿児島公演で[…]

その後、北九州公演でもライオンの飼養・保管許可では3頭となっていることを確認しました。ただし、無料チケットで中に入った方からの話などでは、見せていたライオンは1頭のみという話もあります。2頭はどうしたのでしょうか。生きているなら、健康状態が心配です。

また、上記の文言が掲載されたあとも、スタッフはライオンのショーをやるかやらないかはライオンの体調次第、イリュージョンには登場するかもという感じで言葉を濁していてはっきりしない回答をしているようなので、すっぱり終了したとは、まだ断言はできないのかもしれません。また、残ったライオンは箱の中に現れるイリュージョンに出演させているようです。

ちなみに、消えていったライオンがどうなったのかについては、相変わらずはっきりした説明はありません。どこかの施設に移したのであれば、ホワイトライオンの「ハタリ」を池田動物園に預けたときのように、公表するべきです。ハタリのときは公表できて、ほかのライオンでは公表できない理由はなんでしょうか。

昭和の時代には「そんなものだ」と許されたことも、今の時代には「きちんと説明できない企業」としてマイナス要素にしかなりません。

動物ショーの終了を!

以上、PEACEからの要望書により企業からの聞き取りがあったか?と思われる点もあったわけですが、「キノシタ・エレファント・ホスピタル」が存在すると思わせておいて実はすでになかったことや、ライオンの行方の不透明さについては、主催・共催・協賛の企業だけでなく、観客までも欺いてきたことになります。

改めて、主催・共催となっている報道機関には真実の取材と報道を求め、動物福祉に向き合った回答をしていただきたいと思いますし、木下サーカスに対しては動物のショー利用廃止を望みます。

関連記事/北九州公演&名古屋公演の要望先一覧

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