インスタライブ「キノシタ・エレファント・ホスピタルはタイに無かった!」開催レポート

インスタライブ「キノシタ・エレファント・ホスピタルはタイに無かった!」

2025年5月31日、夜9時~PEACE初のインスタライブを開催しました。

PEACEスタッフのタイ訪問レポートやアジアゾウの輸出入、動物サーカスに使役される動物たちの悲惨な現状についてお話をしました。スピーカーはPEACE代表の東さちこ、スタッフの光延晶子&Shinoです。そして、北九州公演でアクションを行っているHIROMIさんもゲストスピーカーでご参加いただき、アクションの様子や手ごたえなどをお話してくださいました。

タイ訪問レポート

タイを訪問したPEACEスタッフのShinoが現地の様子を報告しました。木下サーカスがタイのランパンにある国立エレファント・コンサベーション・センター内に建設したとしている「キノシタ・エレファント・ホスピタル」の写真をセンターのスタッフに見せたのですが、そのような建物はセンター内にはなく、付属病院のスタッフも木下サーカスのことは知りませんでした。

1999年に建設された象の病院、「キノシタ・エレファント・ホスピタル」は約10年後(2009年頃)に運営を終了していました。木下サーカスがそのことをサイトで公表したのは2025年3月。PEACEが主催・共催各社に指摘した後です。

観客も主催や協賛の企業も、招待状を受け取った各地の自治体も、誰もが木下サーカスがタイで寄贈した象の病院は今もあると思っていたはずです。「キノシタ・エレファント・ホスピタル」の展示が公演会場にあったのですから。

2022年立川公演「キノシタ・エレファント・ホスピタル」の展示。この病院は2009年頃に終了していた

木下サーカスとつながりのあった国立エレファント・コンサベーション・センターではゾウ乗りやショーも行われており、ゾウの母子の引き離しもあります。子どものゾウは1歳半くらいで母親と引き離されます。母親から幼いゾウを引き離し、拘束や暴力で心を折り人間に従うようにする「パジャーン」が行われているかどうかをツアーガイドに尋ねたのですが、肯定も否定もないような、はっきりしない回答だったとのことです。

このセンターの近くには、タイ中から病気やケガをしたゾウが集まる、「FAE(アジアゾウの友の会)エレファントホスピタル Friends of the Asian Elephant (FAE) hospital」があります。FAEが世界初のゾウ専門病院で、パイオニアです。国立エレファント・コンサベーション・センターが近くにあり、紛らわしいので注意が必要です。ゾウの保護区のあるクイブリー国立公園や、ショーもゾウ乗りもないエレファント・プライド・サンクチュアリの話もしました。

詳しくはタイ現地レポートをご覧ください。

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当日お話しながらご覧いただいた資料です。

サーカスの動物たちの現状と不透明な行方

木下サーカスにいる動物たちの現状についても話しました。頭数が減り続けるライオン、記念撮影の間も鎖でつながれて常同行動の激しいアジアゾウ、個性を奪われてうなだれた様子で曲芸をするポニーたち。そして、ヤギ、犬、ラマがすでに飼育されていることも注目です。今後は家畜種(言い方はよくないですが)でのショーやふれあいを始めるのかもしれません。

木下サーカスでの動物のショーは縮小に向かっていますが、ラオスに返却されたゾウや、いなくなった動物たちの行方はわかりません。動物園で病気に苦しみながら亡くなったホワイトライオンもいました。

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ラオスへのアジアゾウの返却が延長された⁉

まだ公開していなかった衝撃情報もお伝えしました。木下サーカスのアジアゾウ「カンムーン」と「カンマイ」はラオスからのレンタルです。アジアゾウはワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載されている絶滅危惧種で商業利用での国際取引はできませんが、短期の移動展示であればショーなどの目的で国外に出すことができます。日本国内にいることができる最長の期間は6年です。

しかし、木下サーカスがラオスから借りているアジアゾウたちの返却期限を経済産業省が延長していました。本当なら、今年の4月頃にはラオスに帰っていなければいけなかったはずなのに、これではゾウのショーが続いてしまいます。「やむを得ない理由」とは何か経済産業省に問い合わせていますが、回答はありません。行政や企業、マスコミはなぜか動物サーカスに寛容です。己の利害のために法も動物もないがしろにされています。

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北九州公演から名古屋公演へ
動物サーカス廃止を求める
アクションのバトン

北九州公演で動物たちの解放を求めてアクションを継続しているHIROMIさんに、観客の反応や手ごたえをお話していただきました。

会場へは観客の9割が車で入るためリーフレットの手渡しが難しく、パネルを車道に向けてのアピールをしているとのこと。笑顔で手を振ったり、おじぎをしたり、明るい活動を心掛けたそうです。すると訴えに賛同する反応や声が多くあったそうです!

  • 車から窓を開けて手を振ってくれる人
  • 車から降りてリーフレットをもらいに来てくれる人
  • 「(サーカスの動物が)かわいそうだった」という人
  • 「(動物の)ショーをすることはない」とリーフレットをもらいに来た人
  • 「あなたたちみたいな人がいないとね。大事な活動だからやめないでください」と声をかけてくれた人

ステージをみた人々は動物に同情し、かわいそうに思っていたのです。福岡や天神の駅前でもリーフレットを配り活動するみなさまの、北九州公演3月23日~6月30日という長丁場での活動に感銘を受けました。がんばってください!

また、HIROMIさんは高齢のライオンたちをとても気にかけておられ、ショーや頭数などを確認してくださいました。ライオンのショーは北九州公演の初日のみで、その後は終了でした。ライオンがステージに出るのは、幕をとった箱の中から現れるイリュージョンのみとなっています。現在木下サーカスにいるライオンは、ライオン(オス)×1、ライオン(メス)×1、ホワイトライオン(メス)×1となっており、このうち1頭が体調次第でイリュージョンに出演するのだそうです。

北九州の次は名古屋公演(7月13日~10月27日)です。名古屋にも動物を守るための力強い活動家がたくさんいます。今回のインスタライブが、これからの活動のアイディアや活力につながればと思います。

動物たちが曲芸から解放され、穏やかな余生をすごせることを望み、動物サーカスが終了まで私たちの活動は続きます。

木下サーカスさん高齢ライオンたちを引退させてくださいバナー

インスタライブのアーカイブはこちらからご覧ください。(最初の4分半くらいは話が始まっていないので飛ばしていただければです。)

できる限り現状に沿って改訂を重ねている「サーカスで動物をつかうのはもうやめて」リーフレットもぜひご活用ください。

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動物を見世物にする興行にノー!の声を

動物たちは、自分でのぞんで芸をしているわけではありません。
彼らの本来の生き方とかけ離れた姿を見せることで、サーカスは、動物について間違った理解を広めています。
残念ながら日本では、マスメディアや大企業がサーカスの興行に関与しているため、正しい理解が広まりません。
草の根で、動物たちのために声をあげていきましょう。