EUで、サーカスの野生動物使用禁止を求める署名が100万人超を達成しました。
このことを報じるブリュッセルタイムズによると、署名はEUの81団体が呼びかけていたもので、10月13日、Eurogroup for Animalsと、キャンペーンを開始したInfoCircosが、欧州議会のメンバーであるEleonora Evi(Greens / EFA;欧州緑グループ・欧州自由連盟)及びAnja Hazekamp(GUE / NGL;欧州統一左派・北方緑の左派同盟)に署名を託しました。欧州委員会に提出されます。
署名は、欧州市民イニシアチブ(ECI)の仕組みを利用したもので、少なくとも7つの加盟国で少なくとも100万人の署名者を必要とし、欧州委員会によって承認された場合、立法案が提出されます。
EU加盟国の大多数は、倫理上・動物福祉上の理由でサーカスでの使用を全て、もしくは野生動物に限定して、制限する国内法をすでに採用しています。ただし、フランス、ドイツ、イタリア、スペインには国レベルの制限はなく、チェコ、フィンランド、ハンガリーでは、野生動物の一部の種の使用に関する制限のみが採用されています。
また、EUの規制としては、加盟国間のサーカスの動物の移動に関する健康要件を定めた委員会規則(1739/2005)によって、健康管理に関するものがあるのみです。
サーカスはヨーロッパ中を移動して興行しています。それが、EU全体での禁止を求める理由だと署名の主催者は述べています。国レベルでの禁止では、動物の健康や安全に対するリスクや、苦痛を伴う輸送を防ぐことができません。
サーカスの野生動物は、身体的虐待と精神的拷問を受ける生活を運命づけられています。
“Wild animals in circuses greatly suffer from physical and s…
また、ブリュッセルタイムズの過去記事によると、Eurogroup for Animalsは、チェコ共和国、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ポーランド、スペインの市民に世論調査を行っており、回答者の68%が、サーカスでの野生動物の使用は残酷であり、野生動物を公共の娯楽に使用すべきではないことに同意していたとのこと。さらに、83%が、サーカスでのすべての野生動物の使用をEUが禁止すべきことに同意していました。野生動物を見せるサーカスが教育的であることに同意したのはわずか20%にすぎませんでした。
EUのサーカスでの、動物が関わる事件・事故
Eurogroup for Animalsによる報告書によると、EUのサーカスでは、過去24年間(1995~2019)に889頭の野生動物が関係する478件の事件・事故が記録されているとのこと。驚くべき数字です。ドイツ(202件)が最も多く、次いでフランス(85件)、イタリア(44件)がワーストです。
サーカスの野生動物による事故によって、13人が死亡、99人が負傷。死亡事故では、トラとゾウによるものが最も多いとのこと。
また、事故で意外と多いのは、ラクダ科の動物(ラクダ、ラマ、アルパカなど)によるものでした。
事件・事故は、下記の3つのカテゴリーに分類され、割合は図の通りです。
カテゴリー1
結果を伴わないインシデント:動物は逃げ出したが 一般市民に害や問題を与えなかったもの。
カテゴリー2
結果を伴うインシデント:道路封鎖、自動車事故、交通渋滞、人や動物の負傷・殺傷、市民の恐怖心を高めた、など。
カテゴリー3
一般市民の死を引き起こした事件。
逃がしすぎですね、動物を。
国別のサーカス(本拠地)の数
また、同報告書によると、各国のサーカスの数は以下の通りで、ドイツ、イタリア、ポルトガルがとても多いです。
チェコ共和国 9
デンマーク 0
フィンランド 1
フランス 49
ドイツ 75
ハンガリー 5
アイルランド 0
イタリア 58
リトアニア 1
オランダ 2
ポーランド 5
ポルトガル 38
ルーマニア 3
スロバキア 1
スペイン 5
スウェーデン 0
イギリス 2
計 254