インドで５つのサーカスの動物利用について登録の取消しが行われた

昨年12月、インド政府の動物福祉委員会（Animal Welfare Board of India: AWBI）が動物の権利上の違反があるとして５つのサーカスについて登録を取り消したとの報道がありました。デリー高等裁判所の指示に従ったものとのこと。「Great Golden Circus」「Asiad Circus」「Apollo Circus」「Rayman Circus」「Nataraj Circus」の５つ。（詳しくは下記参照）

India Today

Animal Welfare Board cancels registration of 5 circuses in India

The Animal Welfare Board has cancelled the registration of f…

また、1960 年動物虐待防止法、2001年演芸動物（登録）施行規則、1972 年野生生物保護法への違反や不一致により、２つのサーカスに対し、理由提示命令が出されたそうです。（どのサーカスかは記事には書かれていない）

さらに同動物福祉委員会は、漁業畜産酪農省に対し、2001年演芸動物（登録）施行規則のもとで、サーカスの現状を考慮した適切な法律を制定するよう要請しています。

これは、インド動物保護団体連盟（Federation for Indian Animal Protection Organisations ; FIAPO)が、新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけにサーカスの動物を救出することを請願により求めており、またその請願ではサーカスでの動物の使用を許している法律に異議を唱えており、その審理を受けた動きのようです。

また、11月には、中央動物園管理局が、1972年野生生物保護法に基づいて「Great Golden Circus」（前述の５つのサーカスのうちの一つ）の承認取消しを勧告していたそうです。

インド：動物に演芸をさせることについての規制の歴史

• 1998年　クマ、サル、トラ、ヒョウ、ライオンを演芸のために展示したり訓練したりすることを禁ずる通達が出た。しかし、ゾウは対象外だった。
• 2001年　「演芸動物（登録）施行規則」が施行された。これまでは運営は自由だった。
• 2009年　「動物園承認規則」。サーカスも、この規則を守って動物を飼育する必要がある。
• 2013年　ゾウに演芸をさせることが禁止された。しかし、その後も教育目的という名目で、ゾウの使用が続いた。
• 2017年　調査を経て、サーカスの動物たちが適法に扱われていないことが確認されたとして、環境・森林・気候変動省（MoEFCC）中央動物園管理局（CZA） がサーカスでの野生動物の使用を禁じ、インド全土で野生動物を利用するサーカスの承認が取り消された。

動物を使って演芸等を行うための登録と、展示動物施設としての承認の２種類の規制があり、省庁も分かれているようです。

「パフォーマンス」を演芸と訳しましたが、「演芸動物（登録）施行規則」は、映画等の撮影や競馬等、広く大衆が入場できる、あらゆる娯楽を対象としています。

その後も、全ての動物をパフォーマンスに使うことを禁止するべく、インドでは活動が続けられており、2018年には、「サーカスまたは移動娯楽施設での公演または展示のために動物を使用してはならない」と追加された「演芸動物（登録）施行規則」改正案がつくられたことが報じられています。（動物福祉委員会のサイトの法令一覧で確認すると、現時点でまだこの条文は採用されていないようです）

昨年、登録取消となった５つのサーカス

インドでは既に2017年に野生動物を使うサーカスは全土で禁止となっているはずなので、今回登録取消となった５サーカスは、その他の動物を使っていたのだろうか？と思い、英語でわかる範囲ですが、検索してみました。現在も興行が行われていることが確認できたのは１カ所だけで、興行そのものがあるのかどうかわからないところも多かったです。とりあえずネット調査しただけの情報で申し訳ありません。「Great Golden Circus」と「Apollo Circus」を「有名なサーカス」と書いている記事もあります。

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