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サーカスの動物利用に肯定的な番組、それでも見えてくる残酷さ 「のぞき見ドキュメント100カメ」木下サーカス NHK2022年5月24日放送

ライオン
サーカスのライオンにはやっぱりタテガミはなかったよ

猛獣ショー、やっぱりムチと大声で脅してる

団員に密着し、舞台裏からみる木下サーカスのNHK番組を視聴しました。

猛獣ショーの場面で登場した5頭のライオンのうち3頭がオスでしたが、ポスターにあるようなタテガミを持つホワイトライオンはいませんでした。実際に公演を見た際にもタテガミのあるライオンは見当たりませんでした。2020年には8頭いたライオンが5頭に減っていることも、確定です。(木下サーカスは、動物の死亡の公表はしません)

番組に登場したライオン
ライオン:ジュリエット(メス)、ロミオ(オス)
ホワイトライオン:シヴァ(メス)、クラレンス(オス)、ファラオ(オス)

「調教師歴31年 世界屈指の猛獣使い」と、マイケル・ハウズが紹介されます。すでに世界各国で動物サーカスが廃止されており、その数は50カ国を超えるというのに「世界屈指」という言い方には違和感があります

そして「猛獣」「猛獣ショー」という言葉にも疑問を感じざるを得ません。本来は人間と接することのない野生の動物を興行のために連れ回しておきながら、人間に危害を加えうる危険な動物として扱い、襲われるかもしれないスリルと服従させる優越感を楽しんでいるのですから。

ムチを振り回しながら大きな声を出すことで人間を体の大きな生物と思わせるそうで、そのことは、宣伝記事で目にする「調教師との絆」「動物は家族」という言葉と矛盾します。こうした宣伝文句は、動物には意味のない虚飾です。調教師がムチを振り回す間、ライオンの耳は後ろに伏せっているのが映像からわかります。この耳の状態はライオンのストレスや恐怖を物語っています。

調教師はムチと調教棒を手にしており、ライオンに与えているのは馬の肉でした。

「芸のためなら人生をかける」と調教師はいうものの、芸をすることは動物の生き方ではありません。マイケル・ハウズの息子のマイケルJr.は調教師ではなくバランス芸をやっており、父親の万が一に備えてステージのそばで母親とともに待機していました。

視聴者は知ることがあるだろうか、隠され続ける動物たちの舞台裏

足を鎖でつながれ、激しいストレス行動を続けるゾウ。

狭い鉄のコンテナで飼育される動物たち。

サーカスの目玉のホワイトライオンは奇跡で生まれたのではなく、突然変異を近親交配により繁殖したという現実。

ネットで囲われた狭いスペースにいるシマウマ。

木下社長の厳しい目に応えようと奮闘し、素晴らしいパフォーマンスをみせる団員たちは、華やかな舞台衣装を即座に着替えて裏方に回ったり、ベテランが新人をサポートしたり、冗談を言い合ったり、その仲の良さには、確かに家族的な結びつきを感じました。

しかし、大自然で群れをなして家族や仲間と生きるはずの動物たちは、ほんの数頭でバックヤードに閉じ込められているのです。

NHKは、どうしてその本当の舞台裏の問題点を放映しないのでしょうか。

団員の犬は散歩できるが、サーカスの動物は閉じ込められたまま

テントのそばに作られた居住スペースでは「ペット可」とのことで、団員が犬を散歩させる姿に複雑な気持ちになりました。

森や草原を広範囲で移動する動物たちが、サーカスで飼われている犬よりも行動範囲が狭いことになるのですから…。

クマ
どうして動物によって差別があるの

メディアが目を背けるなら、私たちが声をあげよう

緊張の連続のステージの日々。そこからもう動物たちを解放してほしいと強く願います。人の生き方や夢や野望や挑戦、そういった成功物語にもう動物を巻き込まないでほしいのです。

既存の価値観に癒着し、提供された情報で美談を語るのは簡単なことです。メディアが動物たちの苦しみに目を背け続けるのなら、私たちが声あげていかねばならないと番組をみて改めて実感しました。

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>動物を見世物にする興行にノー!の声を

動物を見世物にする興行にノー!の声を

動物たちは、自分でのぞんで芸をしているわけではありません。
彼らの本来の生き方とかけ離れた姿を見せることで、サーカスは、動物について間違った理解を広めています。
残念ながら日本では、マスメディアや大企業がサーカスの興行に関与しているため、正しい理解が広まりません。
草の根で、動物たちのために声をあげていきましょう。